bubble
エンジンを切るとおとなしい虫の声が聞こえてきた。
鳥はまだ鳴いていない。
カヌーを担いで夜明け前の濃いブルーの獣道を進む。
この瞬間がポジティブなのはいつものことだけど今日は特に期待してしまう。
何か本能的にそう感じるのはたぶん昨日の雨に濡れた新緑の青くさいにおいのせいなんだろうと思う。
鼻がいうには、このにおいはいい釣りに繋がってるらしい。
いつもそうだったはずはないけど、何回ものうち1回が良けばそれをイメージしてしまうのは釣り人の性。
✳︎
滝のように流れ落ちているインレット、その滝の裏側にスライヘッドを放り込んだ。
滝に打たれた水面が慌ただしくってのんびりとポーズを取る暇はなさそう。
ひとまず呼びかけるように2回滑らせる。
あとはキャスティング前にイメージしていた通り、クククンッと流れに飲み込まれないクイックな首振り3回で一気に駆け抜ける。
高浮力な桐材のキレが活きてくる。
ちょうど滝の裏から左横に抜けたところ
ほんの一瞬、ダイブの前につくった”間”
鈍い銀が泡を散らしながら勢いよく反転した。
泡の中で光ったあの瞬間また青くささに期待が結び付いた。
追伸
見覚えのある顔だと思って写真を見返すとやっぱり。
何度か体験したことですけど、これはキャッチアンドリリースの釣りならでは。
われわれの相手をしてくれる個体は多くはないのかも。
リリースする1匹はそのフィールドのうちのたかが1匹。
だけどプラグに反応してくれる魚として捉えるとおそらく分母はグッと減って1匹の重さも違ってくるでしょう。
それにプラグに反応しやすい性格や行動パターンが遺伝するならばその先にも影響するかも。
キャッチした1匹はますます大切に扱うべき存在。
釣り人側の勝手な話で魚からするといい迷惑でしょうけど、色んなことを考えさせられます。
ヒロ内藤さんの「またなぁ~」が脳内で再生された。
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