your lakes
クルマを買ったのと一緒にタックルボックスも新しいのをおろした
一昔前のアウトドアシーンを連想させる緑色をした型押しボディ
金色の留め具、黒のプラスチックの持ち手
いつもの馴染みのタックルボックスと同じだけど
今回のは左右に展開する大きなモデル。
新しいと言っても自分の手元に新しくきたという意味であって
80年代には無くなっているメイカーなので少なくとも30年40年
自分は何人目のオーナーだろう。
前のオーナーはどんな釣り人だったんだろう。
どんなプラグを並べてたんだろう。
そんなことを想像しながら磨き
仕切りは自分の好みとプラグにあわせて仕立て直して
何かの良いタイミングでおろそうと整えておいた。
いつものは留め具が正面の真ん中に一つ
だけどこいつは左右に一つずつ。
それから上部にも見慣れない留め具が一つ。
3つの留め具を外してようやく大げさにも思える二分割の上蓋が左右に開く
トレイを左右にがばっと開くと右に3段、左に4段
両開きのタックルボックスは人によってはずらりとプラグが並ぶ光景が
これ見よがしな感じでいやらしく、贅沢すぎるほどに映るかもしれない。
だけどサーフェイスゲームは"贅を尽くす水の遊び"と表現されたくらいです。
あの時間を味わい尽くすにはそれくらいでもちょうどいいかもしれないなんて感じたり。
その代わりにとでも思っているのか、よく分かりませんが
タックルボックスの中はひけらかさないのが自分のルール。
隠すことにこだわっているわけではないけど、同船する人だけが知っているくらいの方がいいのかななんて思ったり。
道具は贅沢でも釣り人は慎ましいくらいの方が魚にも嫌われなさそうな気もするし。
とにかくアムコのタックルボックスを使うようになった頃から自然とそうしていたのです。
とはいえ他の方のタックルボックスの中を覗くのは大好きです。見せてください。
そうそう、タックルボックスに関連して
羽鳥さんの『ぼくたちのバスフィッシング』で好きな一節があります。
「ぼくの茶箱に仕舞われているのは、ただそれらのプラグだけではないということになる。
・・・それらのプラグはあらかじめ具体的なゲームエリア
(その時々の状況や条件を含めた)をそれぞれ設定して造られているのだから、
いわばそこにはいくつもの湖や沼が仕舞われている、ということにもなるからだ」
流石としか言いようのない芸術的な観点。
じんわり染みます。
そして作り手の想いとは別に、使い手であるぼくたちの思い出の湖や沼もそこに仕舞われることになるんだ。
そう思います。
つまるところ、タックルボックスは
かつて手にした、あるいは手にできなかった自分の魚がいるあの水辺のしるし
そんなものを仕舞った箱。
大きなタックルボックスと自分のクルマ。
しるしを頼りにどこへでもいける。
実に贅沢でオトナになった気分です。
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追伸
クルマはとりあえず毎夜走らせ、喜びを噛み締める日々です。
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